4.学んだこと
研修の直接ARCSの業務に関わる部分では、フィールド調査を手伝うほかは見学が主だったが、学んだことはたくさんある。
まず、コンサルタントの位置づけがどういうものかを知った。仕事は自分でつくるのではなく、国などの機関や他の企業が発注したものを請負うことや、競争入札の仕組みなど、今まで漠然と「環境」系として認識していたこの分野の実態がわかってきた。いろいろと複雑な関係の中で、理屈や理想どおりに物事が進まない現実の厳しさを見ることができたのも、よい勉強になった。
また、そういった状況におけるARCSのようなコンサルタントの役割の重要性を学んだ。ARCSは、緑化の計画段階で必要なデータを収集・分析し、提案をしていくコンサルタントだが、緑化の仕事には様々な分野の人々が関わってくる。孫田さんがおっしゃるのは、コンサルタントは全体のまとめ役(コーディネーター)としての役割を果たすべきだ、ということ。ARCSの業務を見て、私もそのとおりだと感じた。何かの事業を成功させるには計画の一貫した方向性と状況への対応が必要であり、広い視点をもってその計画を立てるのがコンサルタントではないかと思う。
そして、コンサルタントに求められる能力とは何なのか、を教わった。一番大事なのは物事を順序立てて考えることだ。目的を明確にしたうえで仮説を立て、それを確かめるためにはどのようなデータをどのように分析し、出た結論をどのようにフィードバックさせていくのか、という全体の流れを常に考えていなければならない。これは科学的なアプローチに共通する。加えて重要なのは、全体を見る目やまとめる力、コミュニケーション能力。民間・行政の多様な職種の人々と関わるコンサルタントは、計画を誰にでもわかるように説明できなければならない。もちろん、業務をおこなうために専門的な知識は必要だが、文献を読めば身につく学力とは違い、このような能力は経験や練習を通じて上達していくものである。大学では学力と比べて軽視されがちなこの部分を、これからはもっと意識して学んでいきたい。
ARCSでの研修は何よりも社会勉強になった。いろいろな人々に会い、実際の業務を見、大学ではわからない社会の仕組みに少しでも触れたことは、私にとって大学卒業後の将来にきっと役に立つ経験となるだろう。