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ヴィンタートゥール(Winterthur)・ハルト(Hard)
テス
ライン
 テス川は、農地造成などのためにすでに100年以上も前に河川改修が行われている。

 ヴィンタートゥール(チューリッヒ州第2の都市)下流には下水処理場があり、この改修に併せて直線化された河川の再改修が計画された。
 近自然による再改修は河川環境の健全化をめざし、具体的には低水護岸を撤去しある限度内で流水に自由度を与え、床止工・落差工を撤去して河床勾配に変化を持たせ、流水ならびに河川微地形の多様性を確保した。

 右写真上は改修前の区間、中・下は改修後の区間である。

 このほか、旧河道の復元も行われている。私たちが訪れたときには、洪水時に旧河道に土砂が流入したということで大半は埋まっていた。バイパスを生かしたまま旧河道を復元するのは容易ではない。

山脇正俊,1998,テス川自然落差:近自然工法による修復,2000,北海道川の会スイス・ドイツ近自然工法見て歩き 資料 より

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【テス川の概要】
 テス川はチューリヒ高地と呼ばれる山岳地帯に源を発し、ライン川に流入する左支流で、トゥール河に次ぐチューリッヒ州第2の規模を持つ河川である。途中に遊水機能をもつ湖がなく河況係数が大きい山岳河川のために、上流部では夏の渇水期には伏流水となり平常流がなくなり、また高水ピークが高い。
・流域面積:330平方km
・平水流量:8立法m/sec
・計画高水:390立法m/sec:1/100
・河床勾配:1/10%