ネフバッハは、近自然河川工法を取り入れた初期のころの河川である。
ネフバッハが流れるネフテンバッハはチューリッヒの北東に位置している。かつてネフテンバッハの郊外は湿地で農地としては不適だったが、1960年代後半より排水の整備で地下水位を下げ農地に転換してきた。ネフバッハはそのときに一次改修が実施された。
一次改修では複数の川筋が交錯していたものを掘り込みによって一つの川筋に変え、河床は丸石による石畳、河岸は巨石による根固で直線化された。その後、この改修の問題点としては以下のようなことが上げられている。
□河川構造の単調化
□ハビタットの単調さ
□景観変化の少なさ
□農地排水の流入による富栄養化
近自然化は1980年に入って計画、実施されている。チューリッヒ州の下水道普及率100%を達成した後に、ネフバッハの水質も改善されたことから、より生態系にも配慮した河川が必要なのではないかと考えられためだという。近自然化はいわゆる「維持管理費」の範囲で工事され、大きく河道を変更するものではなかった。再改修の要点は以下の8項目である。
■根固の撤去→流れの多様性とハビタットの多様性
■石畳の撤去→流れの多様性と産卵床の確保
■巨石を再利用した床止工(堤内側まで埋設)→安全性の確保
■監督員の指示と定規図なしの施工→不規則性の確保
■河道内への在来低木種の植栽→侵食防止/ハビタット/景観
■現地材料の再利用→低コスト化
■水中・水際植物の活性化→水質浄化
■モニタリング→近自然効果の指標化
ブラウントラウトを対象とした1987年のモニタリングの結果では、近自然化以前に比べ生息密度が3倍近くになっているという。1992年ではさらに増えて、5倍程度の生息数になったという。
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