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第1回 課題 別れ

駅・別れの儀式

提出原稿
添削後
  かつて、駅は別れの儀式の場であったように思う。

 もう三十数年ほど前になるが、学生寮にいた私は、毎年その季節になると卒業する先輩や他学部移行生を見送りに駅まででかけた。寮歌を高唱し、エールを送るのが当時の学生の習わしであった。

 駅での別れの儀式は何も学生に限ったことではない。卒業後も同僚や知人の転勤などでついてまわった。当時すでに北海道の田舎ではモータリゼーションが進み、実際には車で転勤していくのだが、これが儀式が儀式たるゆえんのところで、やはり駅での見送りが別れの儀式となる。発車のベルが鳴る頃、万歳に送られて彼らは旅立っていくのだが、実はひと駅だけ。次の駅には別の同僚があらかじめ車を用意していて、車に乗り換えて次の赴任地へと向かうのである。送る方も送られる方もその辺の事情は十分承知の上で別れの儀式を進めるのである。正直なところ、何をそこまでして…、と思ったものである。

 もう十数年もそのような場に出かけたことはない。今でも田舎に行くと、あのようなほほえましい別れの儀式は続いているのだろうか。でも、その後北海道ではずいぶんと鉄道がなくなってしまい、駅そのものもなくなってしまった。儀式の場そのものがなくなったのである。

 きっと別れの儀式も様変わりしたに違いない。

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 かつて、駅は別れの儀式の場であったように思う。

 もう三十数年ほど前になるが、学生寮にいた私は、毎年その季節になると、卒業する先輩や他学部移行生を見送りに駅まででかけた。寮歌を高唱し、エールを送るのが当時の学生の習わしであった。

 駅での別れの儀式は何も学生に限ったことではない。卒業後も同僚や知人の転勤などでついてまわった。当時すでに北海道の田舎ではモータリゼーションが進み、実際には車で転勤していく人が殆どだが、これが、儀式が儀式たるゆえんのところで、やはり駅での見送りが別れの儀式となる。発車のベルが鳴る頃、万歳に送られて彼らは旅立っていくのだが、実はひと駅だけ。次の駅には別の同僚があらかじめ車を用意していて、車に乗り換えて次の赴任地へと向かうのである。送る方も送られる方もその辺の事情は十分承知の上で儀式を進めるのである。正直なところ、何もそこまでして…、と思ったものである。

 十数年もそのような場に出かけたことはない。今でも田舎に行くと、あのようなほほえましい別れの儀式は続いているのだろうか。でも、その後北海道ではずいぶんと鉄道が廃線になって消えてしまい、駅そのものがなくなってしまった。儀式の場そのものが減ってしまったのである。

 きっと別れの儀式も様変わりしているに違いない。

04/06/24
04/07/11

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