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第3回 課題

約束

提出原稿
添削後
 その本の帯には「この物語はこれから十五年間、毎年一作づつ書き下ろされます」とあった。

一九九二年に出版された塩野七生著「ローマ人の物語」の第一巻である。その後、毎年新刊が出版され、現在十二巻に至っている。第一巻が出版されたとき、塩野さんは五十五歳。きっと彼女のこれからのライフワークを宣言するとともに、読者に対して十五年分の約束をしたのではないか、と受け取った。

 我が身を振り返ってみたい。

 「今日は何時頃帰るから」というような日々の約束から、仕事の契約まで、さまざまな約束をしながら生活している。ローン返済など、例外的に長期の約束を別にすると、約束の期日は一日から数ヶ月がせいぜいだろう。塩野さんのように、これから先十五年分の約束をするなど、私にはとてもできそうもない。仮に、そのような長い期間の約束をするとなると、約束ではなく「夢」と呼ぶべきものになってしまいそうな気がする。

 そうは思いつつも、何か一つぐらい、これからの自分に約束をしてみたい気に駆られる。自分のこれからのライフスタイルをどのようにしていくか、ということに繋がっていくような気がするからだ。十五年は無理にしても、これから十年、いやせめて五年…。

 五十歳を契機に考えてみるのも悪くなさそうだが、さて、いったい自分に何を約束すればいいのだろうか。

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 その本の帯には「この物語はこれから十五年間、毎年一作づつ書き下ろされます」とあった。

 一九九二年に出版された塩野七生著「ローマ人の物語」の第一巻である。その後、毎年新刊が出版され、現在十二巻に至っている。第一巻が出版されたとき、塩野さんは五十五歳。きっと彼女のこれからのライフワークを宣言するとともに、読者に対して十五年分の約束をしたのではないか、と受け取った。

 そのことについて、我が身を振り返りつつ考えてみたい。

 「今日は何時頃帰るから」というような日々の約束から、仕事の契約まで、私たちはさまざまな約束をしながら生活している。ローンの返済のような例外的に長期の約束を除けば、期日は一日から数ヶ月がせいぜいだろう。塩野さんのように、これから先十五年分の約束をするなど、私にはとてもできそうもない。仮に、そのような長い期間の約束をするとなると、約束ではなく「夢」と呼ぶべきものになってしまう気がする。

 そうは思いつつも、何か一つぐらい、これからの自分に向かって約束をしてみたい気分に思い駆られる。それは自分のこれからのライフスタイルのありかたに繋がっていくような気がするからだ。十五年は無理にしても、これから十年、いやせめて五年…。

 五十歳を契機に考えてみるのも悪くなさそうだが、さて、いったい自分に何を約束すればいいのだろうか。

04/01/15
04/01/31
 この最後の「落ち」は、いただけないというご指摘。深く考えずに書いていることが露呈した。

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