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アルティコン(Altikon)
トゥール
ライン
 アルティコンはチューリッヒ州とトゥールガウ(Thurgau)州の州境に位置していて、州境の上下流でトゥールの様子は一変する。上流側トゥールガウ州では未だ一次改修のままの状態であるの対し、下流のチューリッヒ州側は近自然工法による再改修が進んでいるからだ。
 一次改修を終えている上流側は、低水護岸が設置されていて直線となっている。両岸にはヤナギ類の低樹高の河畔林はあるものの水の流れの単調さは否めない。ただ、河岸に河畔林があって、コンクリートがむき出しではないので、日本の多自然型工法を進めている視点からするとそれなりに評価されてしまうのではないかと思ってしまう。
 アルティコンの州境の橋から数百メートル下るとチューリッヒ州に入る。そこでは二次改修の最中だった。山脇さんの話によると、一度低水護岸をはずし水制工による流路の多様化を図ったのだが、数年前に計画流量に匹敵する洪水が発生し破壊され、再度改修中ということだった。
 確かに低水護岸をはずし、水制工を設置することによって水の流れが変わり、寄州や中州も形成されてきている。それにしても大量の石材を使用する。ほかの現場で石材の価格が北海道の1/10程度とも聞いていた。石材の使用は、多孔質空間を形成するということだけではなく経済的にも合理的なのである。

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【トゥール川の概要】
 トゥール川はアルプス山系センティス山(標高2,500m)に源を発し、ライン川に流入する左支流で、チューリッヒ州で最大規模を持つ河川である。テス川と同様に途中に遊水機能をもつ湖がない。
・流域面積:1,700平方km
・平水流量:10-50立法m/sec
・計画高水:1,325-1,425立法m/sec:1/100
・河床勾配:1.1-1.6%

山脇正俊,1998,トゥール川:近自然工法による洪水対策,2000,北海道川の会スイス・ドイツ近自然工法見て歩き 資料 より