ニュルンベルクは、人口49万人ほどのバイエルン第二の都市である。歴史は古く、最も古い記述は1050年に現れる。現在も新市街と旧市街に分かれ、新市街は旧市街の堀割を取り囲むように形成されている。
ニュルンベルクの駅に降りると、広い電車通りを挟んでその向かい側に堀割と旧市街の城壁が建つ。
ニュルンベルクの旧市街は古く、しかし新しい。ニュルンベルクは第2次世界大戦以前、ナチスが政権を握る前には党大会が開かれていた都市で、そのせいか連合軍の空襲が激しく、旧市街は壊滅状態になった。現在の旧市街は、戦後復元されたものなのだそうだ。どこまでが復元された街並みなのか。ペグニッツに面する建物の壁には1600年代の洪水の痕跡などという表示もあり、こんなものまで復元してしまったのだろうかと感心してしまう。
ペグニッツは、旧市街を二分するように東から西に流れている。ペグニッツのすぐ北側には聖母教会(Frauenkirche)と広場がある。広場にはマーケットが建ち並び賑わっていた。
ペグニッツの河畔を歩くと、さも昔からこのような景観だったのだろうと思ってしまうのが、河川改修が行われ現在のような形となったのは1950年代のことらしい。ニュルンベルクは1909年に大洪水に見舞われたのだが、多く市民が住む市街地での改修はことのほか進まず、空襲で破壊された市街地を再建することがきっかけとなって河川の改修も進んだということだ。
一見無造作に見える川と都市との関係だが、随所に洪水に対する対策が施されている。川に面した建物の地下1階は、川に面した壁に窓があり、洪水時にはそこがリザーバーとして機能する。また中の島には地下駐車場がつくられ、そこでも窓にはガラスが入れ込まれず洪水が入り込む仕掛けになっている。決して洪水時の断面が十分に確保されている川ではないのだが、川の拡幅だけに頼らない洪水対策を工夫している。なお、今回は訪れることができなかったが、地形図によれば上流には遊水地が設けられている。
ペグニッツの再改修のポイントについては、「バイエルン州水利庁・バイエルン州内務省建設局,勝野武彦・福留脩文 共監訳,1992,河川と小川−保全・開発・整備−,164pp,(株)西日本科学技術研究所」の104〜111pに載っている。
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