バイエルン州水利局のビンダーさん(Mr.Walter Binder)とお会いしたのは夕方も押し迫ったころだった。ミュンヘン市庁舎のカラクリ時計前が待ち合わせの場所だった。ガルミッシュ-パルテンキルヘンで一度別れた山脇さんともここで再会。さっそく山脇さんに通訳してもらいながら、ビンダーさんの案内でミュンヘン市内を巡る。

　古い教会やナチス時代に粛正された作家の家などあちらこちらを回ったが、実のところよく覚えていない。かろうじてイザールの印象が残っているだけである。というのも、そのあとビンダー夫妻とともに世界一大きいというビアホールに行き、何と2時間もビンダー夫人と英語でやりとりするハメになってしまったため、その印象だけが今も残っているからだ。

　ところで、イザールはミュンヘン市街中心地をほぼ南北に縦貫している。都市河川なので当然のように護岸を施している。一種、掘り込み河道でほぼ垂直の壁で取り囲まれている。しかし、河岸を遠目に見る限り人工的なにおいは少ない。その訳は…。