ランズフットはイザール(Isar)とドナウ(Donau)の出会いから遡ること約77Km、イザールとプフェトラッハ(Pfettrach)の合流点にある小都市である。
同行のFさんの運転のなすままに郊外から市街へと入り、インターチェンジを降りるとそこがプフェトラッハだった。私たちが訪れたのは、その最下流のイザールとの合流点付近である。
ここは幅100mほどの掘り込み河道で、あたかも河川区域が市街地よりも、もともと一段低い面を流れているかのように見える。しかしこの場所は、1954年にランズフット洪水調整地として整備されたもので自然地形ではない(実はずっと自然地形だと思ってきたが、これを書くために再度調べ直してみると、全くの思い違いであることがわかった)。なるほど、改めて5万分の1図をみると、4kmほども直線的な区間が続き自然な状態ではない。
流路は調整地造成に併せて掘削され、護岸で固められた直線的な流路であったらしい。そのうちの最下流部400m(1992年現在で)を近自然工法で再改修したものであった。私たちが訪れたのは再改修部だけだったので、遠目にはずいぶんと自然河川が残されているかのように見えた。流量が安定している河川では、近自然工法での再改修後も、その目的をある程度維持できるのかもしれない。これが流量の変動が大きな北海道の川でも可能かというと必ずしもそうではないだろう。
プフェトラッハは妙に思い出深い。つい写真も多くなってしまった。川には多くの人々が訪れ、釣りや乗馬を楽しんだりしていた。とてもこの背後にある規模の都市が広がっているとは思えない。ふっと肩の力が抜けるような思いだった。
プフェトラッハの再改修のポイントについては、「バイエルン州水利庁・バイエルン州内務省建設局,勝野武彦・福留脩文 共監訳,1992,河川と小川−保全・開発・整備−,164pp,(株)西日本科学技術研究所」の140〜143pに載っている。
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