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ローマ通信 2004年6&7月号  *2004年7月30日発行================================================================

 ローマより暑中お見舞い申し上げます。5月末に雨が降って以来、しばらく乾燥して暑い毎日でしたが、7月25&26日にかけて梅雨のような雨が降り、少しだけ潤ったような気がします。その後、相変わらず陽射しが強い毎日で、これが地中海沿岸気候なのかと思ったりしています。寝るときはエアコンとまでいかないものの扇風機のお世話になっている毎晩です。

 学校は6月19日から夏休みに入り、9月6日まで約2ヶ月半、親はいろいろ工夫を凝らします。FAOで働くスェ-デンの人は、「奥さんが3人の子供を連れて夏休みを実家で過ごすので、自分は休暇を取るまで独りでローマ滞在だ」と言っていました。賢治と太陽は、歩いて10分弱のイタリア保育園の夏季保育に7月いっぱい通っています。保母さんがイタリア語だけなのと、結構月謝が高いのが難ですが、楽しそうに遊んでいるので、結果オーライかなと思っています。

 イタリアの海岸は親子連れや観光客で7&8月にかけてむちゃくちゃ混み、出かけるのも交通渋滞を考えると億劫になります。ローマの夏は海水浴を諦め、プールと湖でごまかそうと思っています。車で1時間くらいの距離に淡水湖が幾つかあり、先日はLado di Braccianoというカルデラ湖へ出かけてみました。黒っぽい砂ですが、岸の一部は砂浜のようになっており、パラソルを広げてのんびりと過ごしている家族を多く見かけました。モーターボート等は禁止されており、子供たちも安心して遊ばせることが出来るのでホッとしたのでした。

 遅ればせながらここ2ヶ月の様子を少しでも皆様にお伝えできればと思います。


大使公邸レセプション

 6月15日夕方7時から、在ローマ国際機関日本人や関係者を招待して、松原大使公邸にてレセプションが催され、私も参加してきました。FAO本部から車で5分ほどの閑静な住宅地区にあり、近くにはカナダ大使等の公邸もあります。玄関で松原大使や井上公使らに迎えられ、部屋を抜け、大きな庭に出た訳です。気温も丁度よく、飲み物や日本食もおいしく、いろんな方との会話が弾みました。50人以上の在ローマ国際機関日本人だけでなく、FAOやIFAD, WFPの幹部クラスも招待されており、林業局からは局長のEl Lakany氏も来ており、サッカーのヨーロッパカップを話題に雑談したりしました(当日はオランダ-ドイツ戦)。また、ご主人がマルタ航空のローマ所長をしているというIFADのフィリピン人女性と雑談したりと、このようなレセプションを通じて、普段会う機会の無い方と知り合いになることが出来るのは本当に有難いことです。

FAOスタッフ向け研修; Influence Your Audience (7月1&2日)

 7月早々に、2日間スタッフ向けの研修を受けました。英語のタイトルにもあるように、「プレゼンテーションを通じていかに聴衆を引き付けるか」というのがテーマでした。通常は8-12名が参加する研修ですが、今回は私を含めて5名という少数精鋭で、充実した2日間となりました。講師はジュネーブ在のアイルランド人Derek。彼は石油会社のShellに長年勤めており、今はフリーで国際機関や民間企業に講義をしたり、ワークショップを開いたりしているエネルギッシュな方で、9月にはケニアに出張するとのこと。参加者は、アメリカ人で栄養学担当のWilliam Clay (ESNP)、唯一の女性陣で、ハンガリーとオランダ人の両親を持つ獣医師のKatinka DeBalogh (AGAL);、南米育ちで北朝鮮の出張から戻ったばかりの自然農法担当のドイツ人Theodor Friedrich (AGST)、 オランダ人で衛星画像やGIS担当のJeroen Ticheler (SDRN)と、馴染みの無い4名でしたが、講義やプレゼンテーションを通じて、かなり打ち解けることが出来ました。最初は3分のプレゼンを各自が行い(みんなパワーポイントを使いました)、それをビデオ収録し、みんなで見ながら批評しあうという、なかなか辛いもの。自分のを見るのは、結構勇気がいるものです。講師からのコメントも受け、翌日にもう一度プレゼンをし、工夫したことや改善された点をまとめてもらい、あっという間に2日間が終わったわけです。学んだことを今後、仕事のみならず、私生活や遊びにも役に立てていければと思っています。仕事でも、Katinkaさんが畜産と貧困対策のテーマに取り組んでいることから、近いうちに改めて話し合うことになりそうです。

FNPP(FAOとオランダのパートナーシップ)

 オランダ政府もFAOにいろんな方面で関わっており、昨年までの支援に続き、今年から4年間、次の3分野での支援が決まりつつあります。1)食料保障、2)農業多様性、3)森林となっており、森林分野では5〜7ヶ国との協力を目指しています。その中で貧困対策は重要課題の一つとなっており、どのような協力が出来るのか同僚と協議をしている最中です。

ちょっと気になること

  実は妻用に購入した新車(Toyota Yaris;日本でいうVitz)を7月5日未明にアパートの前から盗まれてしまい、がっくりしました。ローマも途上国並みの治安ということでしょうか。大家と相談してアパートに警報装置を設置してもらうよう交渉しています。盗難保険で全額カバーしてもらえそうですが、盗まれないように何とか工夫をしないといけないということでしょうか。

 それから、4ヶ月間の格闘の末、やっと自宅に電話が付きました。こういう公共サービス振りは、イタリアならではというところでしょうか。今度はインターネット接続を目指して頑張っているところです。

 

最後に

 去る平成年6月7日、元JICAの林業水産開発協力部長であり、国際協力専門員であられた、渡辺桂さん(元林野庁管理課監査官)がご逝去されました。享年73歳でした。ネパールで初めてお会いして以来、事ある毎にお世話になった方でした。

 また、祖母キクが盛岡市内の病院で6月10日に亡くなりました。91歳でした。一昨年までは畑仕事をこなしていましたが、こちらに赴任する前の昨年12月上旬は、歩くのがやっとという状態でした。葬式等にも間に合わず、今度帰国した際にお墓参りをするつもりです。

 こんな通信ですが、今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

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発行: 清水 正(FAO本部・林業局森林政策計画部、参加型林業担当)
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