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ローマ通信 2004年2&3月号  *2004年3月31日発行================================================================

 新年度となり、皆様におかれましてはいかがお過ごしでしょうか?2月のローマは、比較的穏やかで日中は15度近くまで上がる日もありましたが、月末は雨霰と少し不安定な天候が続きました。そして3月のローマは、陽射しこそ春らしいのですが、意外と肌寒く少し不安定な天候が続いています。街路樹の桜が咲いているのを見てホッとしますが、花粉症に悩まされがちの毎日でもあります。

 引越しを終えてから1ヶ月になりますが、未だにあちこちいじっています。長男は3月からインターナショナルの幼稚園に通い始めており、大分慣れた様子でホッとしています。FAO本部やローマ市・近郊等、まだまだ未知なことが多いと感じる毎日ではありますが、最近の様子を少しでも皆様にお伝えできればと思います。

<<Trevi Dec2003.jpg>>

国際コメ会議

 国際コメ年を祝うため、FAOは、2004年2月12日から13日までローマで、世界コメ会議を主催しました。この会議は、世界のコメ経済や持続的なコメを中心とする生産システムの開発に係わる主要課題をテーマに行われ、延べ約400人が参加して活発な議論が成されました。日本からも鳥取大学で国際食料経済学を教えている伊藤正一教授が「コメの付加価値」について発表をしたり、GMOに絡んだ育種がテーマだったりと、大学の講義を少し思い出した次第です

 コメが栽培されているあらゆるところ、例えば、アジアの主要河川のデルタ地帯や渓谷、ヒマラヤの山岳地帯の斜面、アフリカの熱帯雨林、中東の乾燥地帯では、コメは人々の毎日の食料として生活に入り込み、宗教行事、結婚披露宴、絵画や歌など生活に密着したものとなっています。コメが新しく導入された国でさえも、コメの栽培は景観を変え、新しい料理を導入し、農民に新たな所得源をもたらしています。

 詳しくは次のウェッブを参考に(日本語のページもあります)。

http://www.fao.org/rice2004/en/e-001.htm.

 また、2日目の昼休みには、コーネル大学のNorman Uphoff教授がSRIというコメの増収法(マダガスカルで20年前に普及され始めた)の紹介があり、いい勉強になりました。

FAOオリエンテーション

 年間3回ほど実施されるFAOオリエンテーションがこの3月にあり、合間を見つけて参加してみました。いつも顔を合わせる林業局以外のスタッフと知り合ういい機会となり、3月17日は随伴家族を含めた半日となり、妻はボリヴィアから赴任した夫婦と会うなど、今後の付き合いが広がる良い機会となりました。日本人では、CODEX事務局長の宮城嶋さんや国際コメ会議担当の佐藤さんらが参加していました。予算が厳しい中、どうやってより求められる成果を個人としてまたグループとして出していくかが、われわれ新スタッフの大きな課題であることを確認した次第です。

森林と貧困対策

 2002年のWorld Food Summitやヨハネスブルグ・サミットに関連し、FAOでも食糧安全保障等の関連で貧困対策の様々なプログラムが動いています。FONPでも、各国政府機関の林業担当者を対象に、ガイドブックを作成することとなり、その関連でイギリスのコンサルタントのMs.Jane Gronowと一緒に作業に入っているところです。彼女はVSO等でネパール極西部や東部で7年程活動し、その後イギリス政府によるガーナのプロジェクトにも勤務し、フィールド経験が豊かなコンサルタントです。これまでも2回ほどFONPと仕事をしており、FAO内部でも私よりずっとネットワークが広い方です。3月15日から5日間、ローマに出張してもらい、今後の予定や活動内容を詰めた次第です。残り2回のローマへの出張を含め、年内に作業を進め、何とか満足のいくガイドラインを作りたいものです。

日本人送別会

 2月はFAOで働いていた3名の送別会が、FAO本部より東へ歩いて15分ほどのレストラン"ORAZIO" (Via di Porta Latina, 5)で開かれました。矢吹・石原さんとは殆ど知り合う機会がありませんでしたが、今年1月末に退職された加藤さんとは縁があり何回かお話を伺うことが出来ました。世銀に勤めた後FAOに移り28年間評価部門を中心に勤めておられた方です。実は奥さんがイギリス出身ということで、お互い国際結婚をした日本男性という何か共通するものがあるためか、退職後も公私共にお世話になっているところです。

 この3月はローマに勤務していた日本人の送別会が、FAO本部近くのレストランで行われましたが、都合により私は残念ながら参加できませんでした。FAO・日本政府信託基金担当だった渡辺さんや日本大使館の株田さん等、短い期間ながらお世話になった方々です。また、送別会が始まる前に、1時間ほど勉強会が開かれ、信託基金をテーマに渡辺さんが、パナマのJICAプロジェクト紹介を萩原さんが行ったとのこと。次回は参加しようと思っています。

この2&3月の動き

2月12&13日 国際コメ会議(FAO本部にて)
2月16&17日 FAO・日本政府信託基金年次会合
2月18日 CIFORの所長・Dr David Kaimowitz氏講演;テーマ「戦争と森林」
2月20日  Dr.Mark Poffenbergerとの小会議(カンボジアやインド北東部の共有林プロジェクト)
2月23日 ICRAF所長のDr.Dennis Garrity氏報告会「アグロフォレストリー」
2月25日 ローマ国連関係者日本人会・送別会
3月3日 CIFOR研究員・藤間氏のFAO訪問
3月4-6日 持続可能な開発のためのパートナーシップに関する国際フォーラム(FAO本部にて、http://www.unep.or.jp/japanese
3月10&11日 久留米大学西川教授・FAO訪問
3月9&10日 FAOオリエンテーションModule1(FAOの概要)
3月17日 Prof.Laresen(デンマーク王立農業大学)講演:「多目的の景観における森林の役割」
3月17日 FAOオリエンテーションModule2(ローマでの生活)
3月22日 世銀とFAOの合同会議:「Bio Carbon Fund」について
3月23日 日本大使館・ローマ国連関係者日本人会・送別会
3月23&24日 FAOオリエンテーションModule3(FAOに勤務するにあたって)
3月26日  Mr. Ivan Angulo(FAOエクアドル事務所長;前コスタリカ所長)の赴任挨拶
3月26日 OutlookStudy(ヨーロッパ)の概要説明( Dr. Adrian Whiteman; FAO林業経済課)
3月29日 勝久氏(FOPPチーフ)赴任
3月30日 LSPの中南米プロジェクト近況報告

最後に

 ネパール関係者の一人で、この3月末までタイ・バンコクの地域事務所にAPOとして勤務していた小林さんが本部への報告を兼ねてローマに来てひょっこり訪れてくれました。今度はアフガニスタンに赴任予定とのこと。昔話に花が咲きました。こんな通信ですが、今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。

1) Food and Agriculture Organization of the United Nations (FAO)/ 国際連合食料農業機関
2) Center for International Forestry Research (CIFOR) / 国際林業研究センター http://www.cifor.cgiar.org
3) Forestry Policy and Institutions Branch (FONP)/ 林業政策機構課
4) The Livelihood Support Programme (LSP) / http://www.livelihoods.org
5) CODEX (食糧安全規格に関するWHOとFAOによる共同事務局)
6) VSO(イギリスの海外青年協力隊) /  http://www.vso.org.uk

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発行: 清水 正(FAO本部・林業局森林政策計画部、参加型林業担当)
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