■ チマイベツ川（室蘭市）
ダムが設置された年は不明だが、2000年時点で周辺の堆積物がコケに覆われていることから、川はとても安定していたと考えられる（図6Ａ）。2001年3月、ダムに幅2.65ｍ・深さ1.25ｍ（河床よりやや高め）のスリットが切り込まれた。当初、土砂の一気流出を防ぐため上流側に置かれた土嚢（図6Ｂ）は、すでに取り払われている。スリット化による上流の浸食・土砂流出量の増加が予想より小さかったからかもしれない。事実、施工直後（図6Ｂ）と3年後（図6Ｃ）を比較すると、ダム上流の河岸に目立った地形の変化は見られず、現在も植物の定着度から河岸の安定性がうかがえる（図6Ｄ）。情報不足のため定かではないが、スリット化の目的は、ダム下流にもともとあった魚の産卵場所を上流にも作り出すことだといわれている。だが、スリット部は水深が十数ｃｍ足らずで下流に向け段差があり、私の目には魚が上るのは難しいように見えた。
