リッチモンド(Richmond)からテームズパス(Thames Path)を遡ること13Km、ハンプトン・コート(Humptoncourt)に至る。
途中、キングストン(Kingston)からは左岸に道を移し歩くのだが、右手の塀や垣根の向こうには緑地が広がる。のぞき見る程度だが、その一端から広大さを伺うことができる。ハンプトン・コートである。ハンプトン・コートは16世紀前半にヘンリ8世によってつくられた王家の邸宅で、その後17世紀末にウィリアム3世とメアリ2世の時代ルネッサンス庭園として整備され、ベルサイユ宮殿のイギリス版といわれる。広さは1.7Km四方もある。19世紀になってヴィクトリア女王によって公園として解放され、現在は年間70万人もの訪問者で賑わっている。
歩き疲れ、夕刻も迫ってきていることもあって、残念ながらその中まで見て回ることはできなかった。裏庭や正面からその威容をかいま見た程度であった。
(ハンプトン・コートについては、松平紘,1999,イギリス緑の庶民物語 もうひとつの自然環境保全史,244pp,明石書店 を参考にした。)