スキポール空港でローマ行きの便に乗り換える。今度は幸い窓際の席だ。
飛び立ったあと次第に高度を上げ水平飛行に移り、しばらくすると前方には雪をいただいた山々が見えてくる。最初はバイエルンアルプス。そしてスイス上空を過ぎると、アルプスの主峰。
眼下に広がる山々は、切り立つ刃が連なるように見える。岩峰を包む雪は、輝く切っ先のようだ。
アルプス越えも終盤にさしかかる頃、地上には夜の帷が降り始める。1万メートル近い上空はまだスカイブルー。地上を包み込むオレンジ、夕陽に照らされた翼。そして東の空に昇る月。さて、フィルムはうまく納めてくれるか?
子どもの頃から、汽車(当時はまさにSLだった)に乗せるとじっと窓の外を眺め手がかからないと言われてきたが、三つ子の魂百までとはいったもので、いまでもそれは直らない。小窓からじっと外を眺め続け、空の旅を堪能した。