三国国境の街々

1993年10月18日

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この街が、明日再び訪れることになるアーヘンだよ、という説明を聞きながらアウトバーンを走り続ける。もう14年も前の話で、そのときにはどこに行こうとしていたのかさえ思い出せないのだが、私たちは走り続けるうちに道に迷ってしまっていたのだった。

いつの間にかアウトバーンを降りてしまって、一般道に入り込んでしまった。アウトバーンには旧国境警備の建物があり、それを横目ににらみながら「ヨーロッパにはもう国境はないんだ…」と思いながら通り過ぎたのだから、もうドイツではなくベルギーに入っていたはずだった。

ベルギーの田舎町を通り過ぎる。こぎれいなのだが、どことなく雑然としている。これまで通ってきたドイツの街とはどことなく異なり、チマチマした感じ。これは私にとっては妙に落ち着く景観だったのだが…。

やがて街並みの景観が変わる。「あっ、ひょっとしたらオランダに入ったのでしょうかねぇ」と地図を見ながら呟く。整然とした街並みではないのだが、ずいぶんゆったりと家々が並び、こざっぱりしている。ほんの数十分の道程だと思ったのだが、どうも文化が違うらしい。確かに民族も歴史も違うのだろうが、ほんのわずかな距離でこれほどまで街並みに差があろうとは思いもよらなかった。

車は、どうやらマーストリヒトの街に出て、私たちは再びドイツに向かうアウトバーンに乗り、ケルンにたどり着くことができた。

確かあの年の前年ではなかっただろうか、マーストリヒト条約が交わされEU統合の道程が始まったのは…。