当時ケアンズは千歳からの直行便があって、北海道からオーストラリアへ渡るときの玄関口になっていた。ツァーも後半になり、私たちは帰国のためにブリスベーンからケアンズに戻ってきた。
亜熱帯の香り。
ゴールドコーストでも陽に焼きつくされるかと思えるような暑さだったが、ここケアンズではそれにさらに湿気が加わる。空気がまとわりつくような気さえしてくる。
海岸通りをぶらぶらする。気根。とても根とは思えない紐のようなものがすだれのようにぶら下がっている。サルオガセが垂れ下がるのとはまた違う不気味さがある。ターザンロープのようにぶら下がってみたい気分だった。
このあたりの海は汚れていて、海に出るならグレートバリアリーフまで行きなさい、ということだったが、ちゃんと漁師はいる。さて、その汚染度の高い海からはどんな魚がとれるものやら、と思いつつ横目ににらみながら足を進めた。
このときだったか、ゴールドコーストだったか、定かではないのだが、子どもたちへは海のおみやげ。鮫の歯。いったい、なんやねん!!って思っただろうなぁ、子どもたちは…。見渡す限り空は青く、雲ひとつなかったように記憶している。