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2003年08月20日
■根萌芽■
 夕べ妻から、「ちょっと切って欲しい木があるんだけど」といわれた。そんな切らなきゃないような木があったっけ、と思いながら今朝庭に一緒に出てみると、ひょろひょろっとした枝が4〜5本ほど立っている。

 引っ張ってみたが、うんともすんともいわない。そりゃそうだ、よくみると地際に這っている根が見える。ヒメリンゴの根だ。幹からは2mほど離れたところなのだが、けっこう太い根が見え隠れしている。根萌芽といわれるものだ。

 通常植物の芽は枝の先(頂芽)や葉の付け根(腋芽)にできる。これ以外のところにはつかないかというとそうではなく、これらの決まった場所以外にも芽があることがある。不定芽という。この多くは休眠芽と呼ばれるもので、開かなかった芽がそのまま休眠状態で残り、幹や枝などに取り込まれた状態になっていて、何かの弾みで再び活動を始める。枝や幹を切ってしまったり、樹木の上部が何らかの原因で枯れてしまったりした場合、幹の根元から不定芽が萌芽として伸び出すことが多い。ピーター・トーマスは「樹木にとっての保険のようなもので…。」といっている。

 根萌芽は、このような不定芽が根からでてきたものである。このヒメリンゴは昨年の暮れに強剪定をしているので、その保険機構が働いたのかもしれない。

 伸びないうちに根もろとも切ってしまわなければ、大変なことになりそうだ。


ピーター・トーマス/熊崎実ほか訳,樹木学,263pp,築地書館

↑ 根から出てきた新しい枝
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↑ 北海道ではまだアジサイが満開
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