有意義なコミュニケーションのためには

長谷川 真理子

しかし、通信・情報の手段がどのように変わろうと、有意義なコミュニケーションの基本は変わらないだろう。なんらかの形で、互いに実りのある情報交換ができるためには、自分自身がなにを欲しているのかを自分で知っていなければならないし、広い視野の中で自分の仕事を位置づけなければならないし、意味のある情報と意味のない情報を見分けなければならない。そして、そういうことを続けていくためには、かなりのエネルギーの投入が必要なのだ。…。科学は仮説構築の連続であり、対立競合する仮説を観察に対して照合することによって、より事実に近い仮説を選び出していく手続きである。…。

2005・2009/01/30
長谷川眞理子,1999,科学の目 科学のこころ,152-153p,214pp,岩波新書,岩波書店