事実を再解釈すること

ニコラス・ハンフリー

しかし、不合理な信仰を棄てるよう、人々を説得するうえでのほんとうの問題は、まさしく、私が最初の電話のときに出くわしたものである。いわゆる占いが時に的中することがあるのは疑いの余地がない。そして人間という存在は、たった一つの驚くべき成功を1000のありふれた失敗の足下にもおよばないほど重大なものとみなしてしまうことが多いのである。これに加えて、事実を解釈し直すことであからさまな失敗を成功に変えてしまう、あるいは、自分の行動を予想していたものに合うように変え、迷信の存在を保証するという人間の性向がある。

2009/01/15
ニコラス・ハンフリー(Nicholas・K.・Humphrey),2004,獲得と喪失 進化心理学から見た心と体,11章もしもし水瓶座さん,258p,460pp,紀伊國屋書店