恐怖と苦痛を感じたときは、原始神経システムが暴走しやすい。自分を震えあがらせ、苦しめる相手には憎しみを抱くことになろう。社会的な地位も偏見と「われら対、彼ら」の分割を生じさせる。私たちは、地位の高い人(たとえば欧米社会の名士)はすばらしい人、地位の低い人はとるに足らない人と単純に決めつけてしまいがちだ。そして最後に、社会的役割にたいして、私たちは型にはまった先入観をもつ。雇用主と被雇用者、医者と患者、夫と妻、その他無数の社会的役割には固定観念がついてまわり、それが本人の能力や要求と一致していることもあるだろうが、そうでない場合もある。兵士、教師、警察官は仕事中と仕事を離れたときとで態度が(他者への接し方も)全く違うかもしれない。社会的役割が問題になるのは、それによって自分が他人より偉いと思いこむときである。