生物とは

福岡伸一

機械には時間がない。原理的にはどの部品からでも作ることができ、完成した後からでも部品を抜き取ったり、交換することができる。そこには二度とやり直すことができない一回性というものがない。機械の内部には、折りたたまれて開くことのできない時間というものがない。

生物には時間がある。その内部には常に不可逆的な時間の流れがあり、その流れに沿って折りたたまれ、一度、折りたたんだら二度と解くことのできないものとして生物はある。生命とはどのようなものかと問われれば、そう答えることができる。

2007/08/14
福岡伸一(ふくおか しんいち),2007,生物と無生物のあいだ, 271p,285pp,講談社現代新書,講談社