設計と力学

山名正夫

…。設計は概念を形に表してゆく仕事であって、この仕事に直接必要な力学は、空気力学、材料および構造の力学、運動力学などである。

しかし、これらの力学は、…、これらの力学の理論をいくら平面的に並べてみても、統合された一つの機能体としての飛行機の形はもちろん、適当な構造様式、結合金具など、具体的な物の形は出てこない。これらの形は、すべて設計者によって咀嚼され消化された各種の理論が生かされてゆくのであって、それぞれの理論自体に咀嚼消化作用があるわけではない。

1993/05/05・2003/09/20
山名正夫(やまな まさお),1988,飛行機設計論,684pp,養賢堂,まえがき,柳田邦男,1992,マッハの恐怖,柳田邦男 編,同時代ノンフィクション選集第9巻 現代技術の影,p177,文芸春秋社