テーブルのまわりに人々が集まり、福祉と平和を共有しようと努力しあうときに、人間と人間をつなぐコミュニケーション能力とはどんな能力なのだろうか。一章や二章でとりあげた受験に強い能力ではないし、与えられた仕事をただバリバリこなす処理能力でもない。つまりエリートのもつ能力ではない。
コミュニケーション能力とは、自分の考えを他人によくわかるように説明できる能力である。
まず、自分がそのことについて、十分に納得していなければならない。その納得が他者にとっても納得できるものであるためには、普遍性をもつ内容であることが必要である。そして相手に理解されるためには、相手への配慮と相手を理解することもまた必要である。ただ一方的に主張するだけでは理解されることはない。相手の意見をきく力が必要である。ドイツの教師は学力にひとつに「共感する能力」をあげていた。