技術者と教養

丹保憲仁

…。技術の場合は科学に求められる原理的な飛躍と言うよりは、目に見える新システム形成への活動である。活動の基底に、個々の技術者の持つ生存への哲学と科学技術の教養が育ってのことは当然である。専門といわれる学習はそれのみでは自己主張に近いものに堕する恐れもあり、できるだけ広く高いレベルで位置決めをする教養的判断にまで存在を高めてはじめて創造的技術の形成に至る。繰り返し述べることになるが、教養を持つということは自分の位置を決める努力であり、集団の中での個人の挙動の具体の意味・価値の理解にまで進んで漸く個々人の修練が本格的なものなると思う。

…。

…。人は個人の成長に合わせて位置を仕返す必要がある。技術者はGPSとしての教養を必要とする。もしかするとそれだけが技術者を真の技術者とすることなのかも知れない。

2003/08/08
丹保憲仁(たんぼ のりひと),2003,これからの技術者に求められるもの,コンサルタンツ北海道,100,1-3p,北海道技術士センター