他者の役割を理解する

久野 収

精神や人間のアイデンティティーとは、他者の役割を自分が理解する方法によって、逆に自分のアイデンティティーが成り立つんです。他者のさまざまな役割を理解して演じている人間ほど個性が豊かで、そういう思想ほど逆に言うと、世界文明に向かって跳躍している。特殊個別性を主張するだけの思想は、一種のファシズムではないかと思うんですよ。

2003/07/07
久野 収(くの おさむ),1995,戦後への視点 浅田彰との対談,久野収 世界を見つめる,16-28p,自由国民社